・・翌日・・

「ふわぁぁ・・・。」


今日も眠い。
妹のアオイが隣で「今日はナオさんいるかな。」と呟いた。


「行事には参加するって言ってたし、体育祭にはきっと来るよね。ね、兄ちゃん。」

「多分なー。」


お前の隣にいるのがそのナオだよ、なんて言えることもなくオレは適当に返事した。そしてさりげなく話題を変える。


「そういえばそろそろ体育祭か。お前気をつけろよ。」

「わ。わかってるよ。」


アオイが中学生の頃は大変だった。借り物競争では借りる物を忘れ、玉入れでは転んで味方チームのかごを倒し、あげくのはてには大玉送りで玉を相手に投げつけ退場をくらうという伝説を作り上げた。


「あの時は敵側が『余裕だな』って言ったのにキレたんだっけ。あれは見てて爽快だったな。」


「ぅぐ・・・(ナオさんの前で恥をかかないよう、頑張らなきゃ・・・。)」

妹は青空に向かって何かを決意したようだった。




キーンコーンカーンコーン・・・


「席ついて・・・ください。」


6限目。

クラス委員の渡辺 芽子【ワタナベ メコ】がいつものように控えめに言う。そういえば、この時間に体育祭りのうんぬんを決めるんだっけ。


うちの学校の体育祭は縦割りで組分けられる。一学年6クラスあるため、必然的に6チーム編成だ。ちなみにオレたちBクラスは黒組だった。
(他 A:黄組 C:赤組 D:白組 E:緑組 S:青組)


さて、体育祭に向けての1番の決め事といえば、やはり応援リーダーだ。


「あの・・・誰かやりたい人いませんか・・・?」


相変わらず控えめな調子で委員長は尋ねる。しかしクラスはしらーとした表情で誰も手上げなかった。
応援リーダーは男女1人ずつすることになっている。