ひとしきり泣いた後、ハルカがニヤッと笑った。ろくなこと考えてないな、と思う。


「それに、ユズのためにリハビリ用意してあるわ。」

「は?」


そう言って、ハルカが指差すところに――


「へ?」


間抜けな声が思わず出る。
木の影に隠れて表れたのは今までいなかったあいつだった・・・のだが。


簡単に言うと、やけにヒラヒラしているのだ。


「くっ~~~~~!!だーーっ、見んじゃねーー」


白黒のこれでもかというほどフリルが付いたメイド服を【ナオ】が着ていた。

やはり恥ずかしいのだろう。走って公衆トイレへ入ってしまった。しかし男子トイレに入っていったのでいろいろ問題があったが。


「わたくしが金にものを言わせて正式に【如月ナオ】を葉月高校へ転入させましたわ。」

「えっ?じゃあ男の方は?」

「もちろんちゃんと登校してもらいます。ナオは病弱でたまにしか登校できない、という設定ですわ。そしてナオはもちろんSクラスですわ。」


いまいち理解できないが、チョウの言いたいことはわかる。
つまり、ナオを接していくうちに男に慣れていくだろう、というものなのだろう。


「・・・ぁ・・がとぅ。」


恥ずかしくてその言葉はよく言えなかった。