ハルカたちに背を向けて進む。
正直、周りの景色がよく見えない。後ろを向く時、うつむきながら歩いたから皆の表情はわからなかった。
視界がぼやける。
鼻水が出そうだ。
喉の辺りが何かでつかえたように感じる。
――グイッ。
誰かが自分の手を掴んだ。これは彼女しかいないな。
「ユズ。そんなこと、私が許すと思ってんの?私が、今泣いてる部員を黙って突き放すとでも思ってんの?」
「・・・っ。泣いてない。」
これは嘘だ。なんだか認めたくなかったから。
「うん。確かに今、あんたの顔見えないから泣いてるかどうかなんてわからないよ。これは女の直感だから。」
開いている手で顔を擦った。
「みんなユズのつらさちゃんとわかってるつもりよ。もちろん、そんなの本人のつらさに比べたら全然たいしたことじゃないけど。
でも、みんなユズのこと理解しようとしたの。そして理解した上でここにいる。その意味わかる?」
正直何が言いたいのかわからない。素直に首を振った。


