ギュー、とするチョウ。
ふさげて抱き返すハルカ。
なぜかチョウを抱きしめるサヨ。

そして・・・


「大丈夫か?ユズ。」

「・・・・・・えっ。」


ワンテンポ遅れてユズが反応する。


「体調悪いなら無理すんな。帰るか?」


「何?なんて言ってんの?」


がさがさ、と彼女は巾着袋から何かを取り出した。それはベッドホンに繋がっていたウォークマンだった。

今日は何か聞いてたのか。

ユズの動作からして、ウォークマンの音量を下げて改めてオレを見た。


「珍しいな。音楽聞いてるなんて。」

「最近はずっと聞いてたけど。」


なんだ。そういうことか。
ユズは最近音楽を聞いていたから応答がなかったり、話を聞いてなかったりしていたのか。


「あんまり大音量で聞いてると耳悪くなるぞ。」

「平気。慣れてる。」


二ッと笑う彼女を見てホッとした。


「ほら、みんな待ってるから行こうぜ。」

「その格好でその口調は気持ち悪い。」


ハルカたちの元へ向かいながら、横目で彼女を覗く。



ユズはそっとウォークマンの音量を上げていた。