「あっち。」 サヨが示す方向を向く。お菓子コーナーに彼女はいた。 ユズはなにやらボーッとしながらある光景を見ていた。 「お母さん!このお菓子買って~。」 「さっき買ってあげたでしょ。ダメよ。」 「えーいいじゃん。お願いー」 それはどこにでもある光景。 見知らぬ親子が買い物をしていた。それはとても微笑ましく、心が温かくなるようだった。 なぜ・・・それをユズは悲しそうに見ているのか。 そんなの聞けるわけがなかった。