「ナオキ・・・少し、話がある。」
夕食が終わりに差し掛かった頃、親父が重々しく口を開いた。
「なんだよ。」
どうせまた下らないことに違いない。
「実はな・・・宝くじに当たって1ヶ月ほど旅行に行こうと思ってるんだ。」
「はぁ?また突拍子もない話だな。」
「あぁ・・・、そこで俺と母さんとアオイで行ってくるから、留守番頼むぞ。夏休み中はいないのでそのつもりで―――」
「オレ行けないのかよ・・・」
おい、いくら何でもひどくないか?
毎日(それなりに)頑張っているオレに功労賞くらい授与してくれても。
「ふぅん、ひょうふーふぁへふぁくわふぁ。」
「アオイ、食べてから言え。」
「ごくん――まあ、そういうわけだから。行ってきます♪」
「うわーなんか殺意が・・・」
「大丈夫よ。母さん、いっぱいお土産買ってくるから。」
「それなら、息子に思い出という名のお土産をください。」
オレの家族はいつもこんな感じだ。
大体、オレに任せりゃどうにかなると思ってやがる。
『はぁーどこかタダで泊めてくれる所ないかしら。』
そんな今日の一言が思い出されたが無視だ。


