「ただいまー。」
玄関を開けると夕食であろういい匂いが鼻をくすぐる。
台所を覗くと母さんと妹が夕食を作っているところだった。母さんはいいとして、アオイは―――
ゴン!・・・ゴン!・・・ゴン!・・・
「オレの聞き間違いか?何か不穏な音が聞こえるぞ・・・。」
「見てわからないの?!キャベツの千切りに決まってんじゃん!」
「まな板の千切りの間違いだろ。」
キャベツを切るには必要以上の力を使うアオイ。母さんはそれを見て微笑んでいた。
「ナオキ、今日はナオキの好きなコロッケよ。楽しみにしててね。」
このタイミングでそんなこと言える母さんは、少しすごいと思う。
まあ、天然だもんな。しょうがないか。
「おー。(別にそこまで好きでもないけど)楽しみにしてる。」
未だ奮闘するアオイを横目で見ながら、部屋に向かった。


