憑いてます




「着いた。」



立ち止まる春木と嶋谷。



目の前には

二階立てのアパートが

たっている。



「送ってくれて

ありがとう。

今から戻れば

午後の授業間に合うよな。」



「はい。」



嶋谷は言った。



「じゃ、気をつけて

帰れよ。」



そう言うと

嶋谷は、

こくりと頷いて

踵を返した。



そんな嶋谷の後ろ姿を

春木は見つめた。



小さくなっていく

彼の背中が見えなくなるまで

春木は見つめ続けた。