憑いてます





「そんな面白くない

冗談、止めろよな。」



「冗談なんかじゃ

ありません。

僕には、はっきりと

見えるんです。」



「俺、オカルト系の話し

信じてないんだよ。」



「信じてください。

本当に憑いてるんです。」


嶋谷が語尾を強めて

言った。



けれど

春木は信じようとしない。



そんな非科学的な事

大の大人が

信じる訳がない。



嶋谷は春木の態度に

少し呆れた様子で

見つめた。



「信じないなら

それでも

構いません。


けど、先生。

信じないと

きっと後悔しますよ。」



「信じないものは

信じない。



そんな悪い冗談

信じられる訳がない。


悪いけど

もう行くよ。


また明日な。」



立ち去ろうとする

春木の腕を

嶋谷はとっさに掴んだ。




「信じてください。」



「だから、冗談は…。」



「このまま放っておいたら

先生は…。」



春木の腕を掴んだ

嶋谷の手に

力が入る。