少し、間を置いて、お父さんが言った。
「…その制度は逆らうことは出来ないのですか?」
お父さんが言った。嫌なんだ。私を家から出すのが。
…そりゃあ、そうだよね。
私がいなくなったら、殴る相手がいなくなる。
お父さんは私を手放したくないんだ。
"手放したくない"…か。
一見、聞こえはいいけどその言葉の裏には、私にとって絶望でしかない。
殴られて。
蹴られて。
抱かれて。
思い出すだけでも吐き気がする。
お腹が痛い。
足が痛い。
腕が痛い。
背中が痛い。
私の脳が、身体が、心が、
悲鳴を上げている。
私…、こんなに辛かったんだ。


