…う…嘘…。
今、「高条」って言ったよね。

「失礼ですが、あなたのお名前をお伺いしたいのですが。」

身体が一瞬にして強ばった。
この声…間違いない、
お父さんだ…。

「奥内グループ会長の一人息子の奥内輝と申します。」

先輩がそう言うと、周囲の人達が全員こっちを見た。

「奥内グループって…!」

「会長の一人息子だって!?
なんでこんな所に…!?」

皆とても驚いている様子だった。

そんな中、お父さんは…。

「社長の…?分かりました。行きましょう。」

…皆さんの反応から見て、どうやらこの会社は、輝先輩のお父さんが社長なんだろうな…。

目の前にいる輝先輩の背中が動いた。
どうやら移動するようだ。

…。…私も…行くんだよね…。
怖い。…怖いよ…。

先輩がこっちを振り向いて言った。

「行くぞ。」

……なんだろう…。
安心する。
大丈夫って感じがする。

輝先輩は不思議だ。