「…っ。ちょっとゴメンな…。」

俺は実亜の腕の部分の運動着をまくりあげる。
運動着の中には言葉を失うものがあった。

痛い、見てるだけでも痛い痣。
実亜の真っ白な肌は赤黒く変色していて。
しかも、1つではなく、右腕だけでも3ヶ所はあった。

…きっと、身体中至るところにあるんだろう。

『大丈夫ですよ。』

俺の頭の中には、今朝の実亜の顔が思い浮かぶ。
控えめに微笑む、実亜が。

「何が大丈夫だ。…ボロボロじゃねぇか…。」

心も、身体も。
なんでこんな状態で笑っていられんだよ。
なんでこんなに苦しんでんだよ。
なんで…嘘をつくんだよ。

痛いなら痛いって言えよ。
苦しいなら苦しいって言えよ。
辛いなら辛いって言えよ。

自分の本心を隠してんじゃねぇよ。

―――決めた。

お前が、起きて、まだ同じことを言うなら。
まだ同じように笑って誤魔化すなら。
まだ自分の本心に嘘をつくなら。

―――俺が、お前の本心を引きづりだしてやるよ。