《ガラッ》

保健室には誰もいない。
確か今日は保健医出張か。
とりあえず俺は実亜をベッドに寝かせた。

「…いっ…。」

ん?起きたか?イヤ、起きてねぇな。
…どこか痛いのか?実亜の顔は歪んでいる。

「どこかケガでもしてんのか…?」

んー…。ケガしてんなら手当てしねぇと…。
でもどこケガしてんのかわかんねぇし…。

どうしようかと考えていたその時。

「…痛い…。…痛い…やめて……。」

実亜が言った。
あまりにも苦しそうな声で、俺は驚きを隠せなかった。

―――『やめて』?

普通にケガして、そんなこと言うか?
ケガしたくらいで、倒れるか?
ただのケガで、顔色がこんなに変わるか?

―――何か、他に実亜を苦しめている何かがあるんじゃないのか?

俺の頭の中に、1つの答えが出てきた。
まさか…。