体育の走り込みを始めようとした時。
《ドサッ》
なんか聞き慣れない音がした。
後ろを振り向くと、実亜が倒れていた。
「おいっ!?実亜!?」
俺はすぐさま実亜に駆け寄る。
肩を掴んで実亜の体を起こす。
後から、異変に気づいた涼司達も駆け寄ってきた。
「実亜!?どうした!?」
「顔色…すごく悪いね。起こさない方がいいよ。」
蓮がいたって冷静に言った。
「…輝、保健室に連れてってやれ。
渡里には俺らから言っておく。」
涼司は一層真剣な顔をして言った。
涼司は親が名医で、涼司自身も医者志望だ。
その涼司が真剣に言うのだから、実亜には何かあると思った。
「…分かった。よろしくな。」
「おう!!」
涼司はまた明るく振る舞った。
俺は実亜を運ぶために抱き上げた。
…なんだ、コイツ。
ありえねぇくらい軽いんだけど。