「イッ…。」

私の顔が歪んだ。
だって輝先輩が私の腕を掴んだから。

それだけじゃない。
そのあと腕を引っ張られてエレベーターの中に逆戻り。
そして今、かべと輝先輩に挟まれている状態。

エレベーターのドアは閉まる。
目の前にはあり得ないほど綺麗な顔。

「ちょっ…(汗)。先輩?」

腕が痛いです。それに加えて背中の火傷も痛い。

「…やっぱり昨日と違ぇ。昨日より化粧濃いし、顔色も悪い。」

…まぁ、そうでしょうね。痣隠すためにいつもより厚化粧したし。
昨日の夕食も、今日の朝食も食べてない。

でも家のことは知られたくない。隠さなきゃいけない。

「化粧が濃いのはちょっと今日時間がなくて、適当になってしまったからです。顔色は多分ちょっと寝不足だからだと思います。」

「…本当だな?」

なんでこの人は私なんかの心配をするんだろう。

「はい。大丈夫ですよ。」

笑顔でそう言うと輝先輩は離れてくれた。…足が痛い。早く座りたい。
そして再びエレベーターのドアが開いて、教室に向かう。
輝先輩は私になんか言ってきた。

「…また3時間目な。」

そう言って2-Sの教室に入ってしまった。
3時間目?サボるの?分かんないやぁ…。