蘭音さんに腕を強く引っ張られ、
実亜が中に入ってきた。
「「「「「……。」」」」」
その瞬間、現場一帯絶句。
実亜………だよな?
部屋に入ってきた実亜は、
いつも風になびかせている黒髪を
邪魔にならない程度に整えられていて、
大きなエメラルドグリーンの瞳は
メイクのせいか、一層輝いて見えた。
着ている白いワンピースからは、
白く、細長い足が出ていて。
照れているのか、頬は少し赤みを差していた。
"綺麗"という言葉がピッタリな姿だった。
「ほ、ホラ!蘭音さんっっ!
やっぱり私、似合ってないんですよぉ(泣)。」
今にも涙が溢れてしまいそうな涙目の瞳は、
麗しさだけでなく、愛らしさをも引き出す。
…………これは、ヤバイな。
「なーに言ってんの!
皆アンタがキレーだから見惚れてるだけよ!」
どんどん涙が滲んでくるその瞳。
…………ぶっちゃけ、可愛いと思う。
「ら、蘭音さん!?誰ですかその子!
めっちゃ綺麗な子じゃないですか!」
「スゴッ…。その目、天然?」
動揺するスタッフに、蘭音さんはニヤニヤ。
実亜は呆けた顔をしていた。
「でしょぉ~?蓮夜のクラスメイトだったの!
私も見つけた瞬間、びびっと来たわ!」
得意気に言う蘭音さん。
実亜はまだ呆けている。
「実亜!そっちに立ってくれるー?」
「え、はい…。」
ヒョコヒョコと慣れない足取りで
蘭音さんに指定された場所に移動する実亜。
頭上にはまだ"?"が見えた。


