今、蓮の姉貴の仕事場に居る俺達。

蓮の姉貴、蘭音さんの仕事は
女性ファッション誌モデルの専属カメラマン。
若干19歳にしてかなりのベテランらしい。

時々、蓮の所に来て、
見目の良い女の紹介を要求する。
モデルの好みが激しいのが玉に傷。

まぁ、蘭音さんの好みに合わないモデルは大抵
売れないらしいから、凄い目利きなんだろう。

「実亜、何されんのかわかってんのか?」

「分かってるわけねーだろ、佑(笑)。
まぁ、分かって断ったとしても、
蘭音ちゃんがあの様子じゃあなぁ。」

…確かに。涼司の言う通り、
実亜は無理にでもモデルにされるだろう。
まぁ、あの容姿じゃあな…。

「ハァーーー…。今日は絶対に帰ってこないと
思ったから実亜呼んだのに…。
我が姉ながらあのタイミング…恐ろしいよ。」

蓮が深い溜め息をついた時だった。

《ガチャッ》

実亜が押し込められた
フィッティングルームのドアが開いた。
中からは蘭音さんが出てきた。

「うわ。あんたらまだここに居たの?
蓮、撮影場所いつもと同じだから、
皆つれてってあげな。」

「えー…実亜はー?」

「今からメイクすんの!早く行けっ!!」

文句を言いながら渋々蓮が動き出したから、
その後を付いていく俺達。

「あー俺、思えば撮影現場初めてだ!」

隣で涼司のテンションが上がっている。
佑はかなり眠そうだ。

「あ、ここだよ。」

蓮がドアを開けた。

《ギィィィイ…》

何か重そうなドアだな。