―――遠い意識の中。
夢か、現実か分からない空間。

頬に…何かが触れる感じかした。
そして…。

『―――…好き…。』

そう聞こえた気がした。
…誰が言っているんだ?
…………実亜なら…良いのに…。

不思議と、その意識からは直ぐに抜け出す。
目の前は暗くなる。

俺はフッと目を開けた。

あの声を聞いたせいか、俺は起きて直ぐに実亜を捜していた。

「…実亜?」

案の定、実亜はすぐ近くに居て。

「――っ!?」

涙を、その大きな瞳から流していた。