幸せへの道


――約10分後。

《ガチャッ》

来たか。

「輝様。お呼びでしょうか。」

「ああ。」

――ギュッ。

実亜が医者の方を向いている俺の制服の袖を掴んだ。
……震えながら。

「実亜。大丈夫だから。」

実亜に聞こえる程度の大きさで、でも優しく実亜をなだめた。

「じゃあ、曽根崎(ソネザキ)。よろしくな。」

「はい。」

《ガチャッ》

俺は実亜の部屋を出た。