「絶対に、口外しないから。口外しない医者にするから。」

"医者"を嫌がる理由は、その怪我の原因にあるんだろう。
病院に行ったりしたら、絶対に怪我の原因を聞かれる。それを知られるのが怖くて、実亜は病院にも行けず、今の今まで痛みに耐えてきたんだろう。

「治療を、受けてくれないか…?」

頼むから。これ以上苦しまないでくれ。

「…こ…怖い…っ…。」

「大丈夫だから。なんかあったら俺が守るから。」

……あれ。なんで俺はこんなことを言ってるんだろう。
"守る"なんて、生まれて初めて言った言葉だ。

なのになぜか、俺の口は自然とそう実亜に言っていた。