涙をボロボロと溢しながら実亜は小さな声で言った。

「父…に…っ。」

必死に伝えようとする実亜。
整ったこの顔は、苦痛の表情に満ちていて。

俺はそんな実亜を見ていられなかった。

「……実亜…?」

実亜が言い終える前に俺は出来る限りの優しい声で実亜の名前を呼んだ。

「……。」

返事はない。でも聞こえているはず。

「痛いんだろ?だったら、早く治そう。」

「……っ…。」

これ以上苦しむお前を見たくない。
泣くお前を見たくない。