「あらぁ♪フーン。実亜のお迎えかぁ♪
私、ココの店の店長です♪よろしく♪」

明らかに「♪」が多い……(汗)。
しかし輝先輩は気にせず、礼儀正しく振る舞う。

「どうも。実亜、そのままの格好で帰るのか?」

そのまま…?あ、バイトの制服のことか。

「あ、いや。着替えてきます。」

「分かった。」

早いとこ着替えてしまおう。私は裏に行った。

――ズキン。ズキン。

…ヤバイな。背中の火傷が痛い。
明日には、熱が出るかも…。

「…イッ…。」

着替える時に微かに触れるシャツが背中を刺激してならない。
治療したいのも山々だけど、背中は自分で出来ないし。
誰にも言いたくないし。…輝先輩にも。
傷痕は残りやすいけど、今までみたいに自然に治るのを待つしかない。

着替えが終わり、裏から出て先輩を探す。
先輩は席に座って店長と話していた。