「…いえ、私の負けです。最初に私は『王子には手を出さない』と行ったのに出してしまいましたから」
アンは両手を上にあげ
「降参です。王子の力量を見誤っていたみたいですね、私は」
そう言った。
その言葉を聞いたアレンはきょとん…としたが嬉しそうに笑った。
その笑顔を見て、アンの心臓が激しく鼓動を打つ。
「お、王子‼休みましょう、そうしましょう‼」
「え、でもまだ十分しか…」
「十分間も動き続けてたんですから‼」
アンはアレンの方を見ることが出来なかった。
芝生の上に座り込み、空を見上げる。
「あ、そうだアン。聞きたいことが…」
「な、なんですか?」
アレンがアンの隣に座る。
無意識にアンの体は強張った。
「衛兵とやりあっていた…って言いましたよね?アンは…ここに来る前は一体何を…?」
「……やっぱり、気になりますよね…」
アンは静かに深呼吸をして正直に話始めた。
「…私は、街で盗人をしていました。レベペ盗賊という盗賊の頭の一人娘なんです、私」
アレンの顔を見ることができなかった。
そうだ、自分は盗賊の頭の一人娘…本来ならここにいてはいけないんだ。
王子とも、女王ともかかわってはいけない人種だ。
衛兵の皆と訓練をしていること自体がおかしいんだ。


