そうとも知らないアンは、アレンと城に戻っていた。
「それで、王子。どこでやりましょうか?」
「そうですね…じゃあ庭園でやりましょうか。あそこは花が咲いていない場所が奥にありますし」
アレンはそう言って庭園に向かった。
庭園に着くと、奥へ奥へと進んでいく。
すると、アレンが言ったように奥には花が咲いていない広々とした芝生の場所があった。
「うわあ…気持ちいい…」
アンが思わずそうこぼすと、風がアンの髪を撫でた。
その金の髪の美しさに、アレンは少しばかり目を奪われた。
「さて…じゃあやりましょうか!」
アンが急に振り向き、アレンはどきりとする。
「ん?どうかしました?」
「何でもありません。さ、やりましょうか‼」
アレンは慌てて仕切り直す。
「…じゃあ今日は初回だし…王子の力量を見せていただきましょうか」
アンはそう言い、にこりと笑った。
「ルールは簡単です。基本は何でもアリ。王子は私を傷つけることができたら勝ちです。ただ、私も無抵抗、というわけではありません。
けれど王子に手は出さず、王子の攻撃を避け続けるだけです」
「え…でもそれは…」
アレンは周りに誰もいないことを確認して
「あなたは女性だし、一方的に傷つけるなんて…」
アンはため息をついた。
「王子…なめないでください。戦の経験はありませんが…私は週に一回以上、こちらの衛兵を相手にしていました。
王子よりは強い自信、ありますよ?私が女だということは忘れて、全力できてください」
アレンを挑発した。


