そこには一羽の鷹が羽ばたいていた。

アンはカインの剣を空に払い上げ、逃げ出した。

衛兵は逃げるアンを追いかける。


会場に残ったカインは自分の手を見ていた。

「負けた…。女王陛下以外に、初めて…」


コロシアムから上手く逃げだせたアンは指笛を吹いた。

するとあの鷹がアンめがけて降下してくる。

この鷹はジャンが可愛がっているものであり、ジャンとアンの連絡の仲介役でもあった。


「よーし帰るか」

アンは鷹を肩に乗せ、適当な布で髪の毛を隠してから帰路についた。


「…波乱の格技大会でしたね。衛兵、さっきの少年を必ず捕らえなさい。そして城に連れてくるように。今日からは金髪の人には警戒するように。いいですね」

「はっ」

「では…閉会としますか。下で呆けているカインも拾わなくては」

女王はくるりと後ろを向き、会場へと続く階段を下りて行った。