「悪いけど、捕まるわけにはいかねえんだよ」

アンは自分の後ろにいる兵に回し蹴りを決めて、逃げ道を作る。


「逃がすか‼」

「お前らじゃ相手にならない」

アンは剣を使い衛兵を次々に倒していく。

そのアンの姿を見て喜んだのはカインと女王だった。

「私があの少年を捕らえましょう」

「とか言って楽しむ気でしょう、女王陛下。なりませんよ。カイン殿が片付けます」

大臣に止められ、女王はつまらなそうに唇を尖らせた。


「ロイ‼お前やっぱり強いな‼俺が相手してやる」

カインがそう言うと、アンを取り囲んでいた衛兵がその場をどいた。

「カイン…何者だ?衛兵を動かせるなんて…」

「そのうちわかるさ…‼」

カインはアンに向かっていく。


女王はカインとアンの戦いを見ていた。

「カインと互角…」

「信じられません‼カイン殿は手を抜いてるのでは…」

「いえ、それはありませんね。多分全力です」

次第にカインが押され始めた。

「…カインが負けるかもしれませんね」

女王は冷静にそう判断した。


「どうした?カイン」

「強いな…お前…」

「ここまで苦戦したのはカインが初めてだよ。親父以外で。お前に負けるかもと思ってたが…勘違いだったらしい。
もう少し遊びたかったけど残念だ。帰って来いってお達しが来た」

アンは頭上を見上げた。