「俺は今、参加者の一人だ。やめろ」
「申し訳ありません…」
「それよりお前、あの布を頭にかぶってるやつをそれとなく見張っておけ」
カインは衛兵にそう告げてから会場へと入る。
審判の開始の声が響き渡り、カインは戦いを始める。
カインの腰には二本の剣が刺さっていたが、それをつかうほどの相手ではなかった。
例のごとくカインは相手を瞬殺し、会場をあとにする。
そしてついに決勝となり…
「三十六番、二十二番による決勝戦を始める‼」
審判がそう宣言すると、観客からは今まで以上の歓声が上がった。
「…やっぱりこうなりましたか…」
一番上から見ていた女王が少し笑いながらつぶやく。
「ぜひとも、勝っていただきたいですなぁ」
「あの身軽な少年に?」
「カイン殿に決まってましょうが‼」
大臣は声を荒げた。
「あらまあ、私はあの少年に頑張ってもらいたいですけどね」
女王はにこにこしながら戦いを見ていた。
「女王陛下め…俺よりもロイを応援してるな…」
会場からでもはっきりとわかるほどの女王の笑顔を見上げて、カインは苦笑いを浮かべた。
「…やらないのか?」
「おお、悪いな、ロイ。やるやる」


