その日のお夕飯は、私の大好きなオムライスでした。

母のオムライスは、お店で出てくるオムライスみたいに、卵がふわっとしていて、ソースとトマトケチャップを主にしたデミグラスソースがたっぷりかかっている。


飛び上がるほど美味しいという訳じゃないけれど、私にとってはどのお店のオムライスも勝てない、世界一のオムライスでした。


その夜、母の病気のことを仕事から帰って来た父に話しました。


父は、もともと感情的な性格で、カッとなると母に手を挙げることもしばしばありました。


その夜も、やっぱり父は、『変な病気になりやがって!』
と、母を攻め立てたのです。


そんな父の冷たい言葉を浴びせられても、母は俯いたまま、じっと耐えていた。

「病気になったお母さんの気持ちも考えてよ!!お母さんが悪い訳じゃないじゃん!!」


私がそう言って言葉を遮るまで、父は母を罵倒し続けました。