数分後
立っているのは「狗神」だけ。
「私いらなかったじゃん」
私は呆れた目をむける。
「狗神」はまた笑う。
「「黒兎」がいないとやる気でないからな」
また「狗神」は………。
「あっそだ」
私はくるりと振り返り
総長の元へいく。
「総長さんはこの世界に
戻ってこれないから
もし………戻ろうとするなら………」
私は耳元で呟き
「「狗神」帰ろ?」
「まだ今日何も破壊してねぇ」
「狗神」を宥めた。
明日は学校だし早く帰りたいしね。
「狗神」には言わないけど。
「ば………化け物ども」
元「赤蘭」総長は呟く。
「狗神」も充分怖かったが、
後ろにいた「狗神」を飼い慣らす
「黒兎」のほうが怖かった。
何も感情を持たない表情、声で
―あなたが
大切にしていたもの壊しちゃうよ?
破壊の化け物は「黒兎」のほうだ。
そう自覚して意識をとばした。
