大気圏
それは地球上の大気と、宇宙空間(無重力空間)との境目。
厳密には、地球の重力の影響(俗に引力という)は僅かながらあるのだが、この話の場合は面倒だから考えないことにする。
コーラ缶が、あっ、間違えた、宇宙船が大気圏を超えた。
工場長が南大阪まで行って、パクッてきた技術の全てを注ぎ込んだ、省電力超電磁モーターは、ギリギリ地球の重力に勝ったのである。
「やったよ、工場長!
で?これからどうするんだっけ!?
えーと………
テキストの2ページは……
『宇宙空間に出たら』
これだ。
えーと………
『太陽発電パネルを開く』
これだな……ポチ……
ん?なんか外で音がしてるような………
ま、いいか。
次はっと……
『進行方向を決める』
ってね~!
俺に進行方向なんて言うなよ~。
月の向こう側の結構向こう側のところだったはずだっけ!?
まあ、進んでいるんだからなんとかなるだろう。
コクピットにいる隊長にはわかっていないが、宇宙船を瓦屋根が覆っていた。
工場長が南大阪で仕入れた技術の一つだ。
コンパクトに畳むことの出来る太陽発電パネルは、スイッチ一つで5×11㎝×2枚で、宇宙船を山型に覆う。
これによって作られた電力は、小型高性能リチウム電池に蓄えるのだ。
外観上には、屋根の付いた缶コーラであった。

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