2011年3月11日午後2時49分、マグニチュード9の大地震が日本の東北地方を襲った。

 私は、その時、仕事をしていて急な揺れに辺りを見渡していた。

 『そのうち止む』

 そう思い、パソコン入力を続けようとしたが、揺れは強くなる一方で、近所に止めてあった車が、ガシャガシャと音をたてながら揺れ始め、車の防犯ブザーが鳴り響いた。

 『ヤバいかも…』

 どんどん揺れは強くなっていき、不安を感じた。
 どうしようかと思っていると、職場の先輩が外に飛び出した。

 その瞬間、身体が自然に動き、私もつられて外に飛び出した。

 電信柱はグラグラと揺れ、地面も唸っていた。

 それでも何となく、

 『大丈夫』

 と、根拠のない自信があって、とりあえず壁も近くにない駐車場へと身体を移した。

 しばらくすると揺れは止まり、恐る恐る会社の中に入って行った。

 事務所のTVを点けると、M9の地震が東北地方を襲ったと告げている。

 TVの映像は、その後すぐ、パニックになりながらも半信半疑で避難する人達と、徐々に打ち寄せてくる海が映し出された。

 ―――津波―――

 私のイメージは、サーフィンをするような波を想像していたが、全く違ったものだった。

 どんどん勢いを増していく水の量の映像に、釘付けになった。