「と、まあ、簡単にはこんな感じじゃ」


白髪のドレッドヘアーの老人は、茶の間で黒いテーブルを挟んだ向かいに座る、坊主頭の青年に言った。


「へえ〜」

坊主頭の青年は目を擦りながら相槌を打つ。


「バカモンがっ!!」


「えっ!?何いきなり!?」


坊主頭の青年は、白髪のドレッドヘアーの老人がいきなり、テーブルに置いてある新聞を叩いたので、驚いて顔を向けた。


「見てみい!!これっ!!」


「ん?・・・・」


白髪のドレッドヘアーの老人がテーブルを滑らし新聞を寄越したので、坊主頭の青年はその新聞を広げ


「え〜・・・・総理、鬼人動終戦記念日に、大鬼代理と会食、これからも今まで通り平和にしようと誓った」

と新聞の記事を読み上げ、「で、これがなに?」と問う様な顔を老人へ向ける。

「バカモンが!!何が今まで通り平和じゃ!!田舎はどうでもよいのか!!」


「ああ〜、それは確かにな〜」

言いながら坊主頭の青年は新聞をテーブルに置き、プンプンとしている老人へ再び顔を向けた。


「近辺の村は何度も、赤鬼に襲われてんのに、無かった事だもんな」



「そうじゃ!!政府の奴等は、首都さえ良ければいいのじゃ!!田舎は別に潰れてもいいと思っておる!!」


「まあ、中心命で辺境はどうでもいいのかもな〜。村潰れても、テレビで報道されねえくらい田舎だしな、ここ」


「自分等でなんとかしろってことか!!クソじゃ!!クソじゃー!!」

白髪のドレッドヘアーの老人は、怒りに任せ新聞をビリビリにちぎり、ただの紙吹雪と化したソレを、天井に向かって放った。


「単に知らんか、知ってても鬼との揉め事回避か、内輪揉めを他国に知られたくないか。まあ、いずれにしろ、田舎は眼中に無いんだろうな」


「ええい!!そう言う事ならお前が行くのじゃ!!モモ太郎!!!」


「えっ!?いやいや、何言ってんだじいさん!?嫌だぞっ!てか、何処にっ!?」


モモ太郎と呼ばれた坊主頭の青年は、舞い落ちてくる紙吹雪を払いながら、白髪のドレッドヘアーの老人へ言った。


じいさん
「大鬼退治じゃ!!」


モモ太郎
「いやいやいやいや!大鬼って、鬼の大ボスだろ!?退治なんかしたら、鬼どころか国からも追われるって!」


じいさん
「ぶった斬って分からせるのじゃ!!」


モモ太郎
「何言ってやがるんだ!考え直せ、じじい!てか、俺は絶対行かんぞっ!」