シュウさんが寝ていた
ソファーへ腰を下ろす




微かだけど、




「…シュウさんの香り」




優しいフローラルの香りが
鼻を掠めてくすぐったい。




胸がキュッと苦しみを覚える




私、どうしちゃったのかな…




これじゃあ、まるで




「…恋する女の子じゃない」




「一人でぶつぶつ言ってんなよ

気味悪いわ!」




!!??




背後から聞こえてきた声。




それは紛れもなく
シュウさんの声で




「…し、シュウさん!」




しまった。




「んだよ!

朝っぱらからうるさい!」




耳を塞ぐマネをしている彼




「ハァ…

この先が思いやられるな〜」




ため息をつきながら
彼を横目でチラッと見る




「ハル!」




彼の端正な顔立ちが
一瞬にして変顔へと変わった。




「ぶふっ…ふふ

あはは!」




笑いをこらえることが
できず私は爆笑した




笑い転げているとフワッと
頭に“温かい何か”が被さった




「…シュウさん?」




「ハル。

ありがとう…な?」




正体はシュウの手の平だった




彼は、今までにないくらい
優しい表情で私に笑いかけた




高鳴る鼓動の意味は何なのか




まだ分からなかった。




ううん。




気づいていないフリを
していただけなのかもしれない










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