私のバカ!!




耳元で囁かなければよかった!




「ハル、お前…

俺を襲おうとしたのか?」




はい?




…いやいやいやいや!




誤解ですから!




シュウさんの勘違いですから!




「…違いますよ。

シュウさんが

“行かないでくれ”って

私の腕を掴んだから、」




ほら、と言わんばかりに
掴まれていた腕を出す。




そこにはくっきり
手形の跡があった




「悪りぃ…。

痛かったよな」




痛々しい跡に
シュウさんの手が
優しく触れる。




生暖かいシュウさんの手




「…ッ、」




スギンと鈍い痛みが
全身に走り渡った




「俺、昔の夢見てた。


笑っちゃうよな〜


行かないでくれって叫んでも
両親は出ていくんだもんな〜


本当に憎たらしいよ…」




引き止めるシュウさん


追い出された私




似ているようで似てない2人


だから私は




「シュウさん。


私は行かないよ?


今日からココが私の居場所」




これくらいしかできない




「…お前、」




壊れ物を抱くみたいに優しく
あなたを抱き締めるくらいしか…




今の私は、




まだ無垢で純粋だった









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