彼の手が一瞬だけピクッと
動いたことを私は見逃さなかった。
「ハル。」
「…?」
「お前、母親と絶縁した時…
どんな気持ちだったか?」
麗子…さんと絶縁した時?
「正直言うと何も感じませんでした。
母親に愛されることを望んでいた
私を裏切りましたし…それに、」
「それに?」
「お母さ…、っ麗子さんは
血の繋がっている子供より
他の男性の方が好きみたい」
「…やっぱり、似てるな
俺達」
俺達…?
っていうことはシュウさんも…?
「そんな顔すんなよ〜…
そう!
俺もハルと同じくらいの歳に
両親に捨てられたんだ。」
…あ、まただ。
悲しそうに笑っている
シュウさんを見るのは
「じゃあ…この家は?」
「両親が残してくれた
唯一のモノ。」
なんで…
なんで、
「よく…頑張りましたね?
私が言える立場じゃないですけど
ずっと待ってたんですよね?
ご両親を、」
今ならあなたの気持ち、
痛いくらいに分かるよ?
.
