「大丈夫?」


目の前にいた人が手を差し出してくる。
私はその手を掴んで何とか立ち上がる。

「あ、ありがとうございます。すみません。お見苦しい姿を・・・。」

「いや、驚いたよ。目の前でいきなり転んだからさ。」


むむむ・・・。笑われた。

俯いていた顔を上げると、そこにいたのは・・・、


「あ、新入生代表の人・・・。」

そう、そこにいたのは、代表挨拶をした、咲良龍樹がいた。

「覚えててくれたんだ。」

「そりゃぁ、あれだけ騒がれれば・・・。」


あれで覚えてないっていったら逆に可笑しいだろ。


「あれは凄かったね。あっ、そろそろ教室に戻らないとマズいね。じゃあね。」

「あ、はい。あの、ありがとうございました。」


私がお礼をいうと、彼は少し振り向いて、笑いながら手を振ってくれた。