この手、あの手。



「つーちゃん」

私の胸に雲がかかった。

久しぶりに名前を呼ばれた。


「な……に……」

「あたし達試合に出るんだけど、後1人足りないんだよ。他の人とは話したことないからさあ。良かったら、つーちゃんチームに入ってくれない?」

何か裏がありそうな笑顔で田畑さんが言う。


「む、無理だよ。私バレー下手だもん」

「下手でも良いよ。遠足は交流させる為にあるんだから、楽しくチームで協力してやれば良いんだよ」

でも楽しくやるのは私以外のみんなでしょ?

私をいじめて楽しむんじゃないの?


田畑さんのしたいこと、バレバレだよ。


「交流が目的なら、尚更話したことない人とやった方が良いんじゃない?」

小松さんが話に割り込んできた。


「てめえには関係ねえだろ。体育参加しないくせにあれこれ言うなよ」

田畑さんの言ったことは図星過ぎて、小松さんはかなり落ち込んでしまった。


小松さん巻き込んじゃダメじゃん。


田畑さんのチームに入ろう。