この手、あの手。



「止めろ」

田畑さんの手が無理矢理私から離される。

いつ教室に入ってきたんだろ。

気がつかなかった。


「お前らの方が金魚のフンだよ。自分がいじめられるからって、仲良いフリして笑ってついてって」

鶴賀君がいつものように、冷たい言葉で田畑さん達を遠ざける。


「お前らなんかより、つーちゃんといる方がよっぽど楽しい」

鶴賀君は喋りながらチョークの落書きを消してくれた。

でも何故かチョークを持つ。


「つーちゃんは俺のだから」

そう言って、私の頬に何か書き始めた。


「な、なにして」

「黙れ」

ここでドS発言!?

なに考えてんの……。


「書けた」

鶴賀君はニッと笑い、自分の名前を言った。


「今日からつーちゃんは俺のもの。友達だ」


友達……?

鶴賀君と私が……?