この手、あの手。



「それじゃあまた後でね、都村さん」

「うん」

小松さんに手を振り、私と聖治は教室に向かった。


「聖治、家を出た時はごめん」

「いーよ、もう怒ってない」

聖治はニカッと笑ってきた。

私も微笑み返す。

聖治のそういう明るい所は私の元気の源なんだよ。

聖治にはずっと内緒だけどね。



教室の前に来ると、中から田畑さん達の声がした。

土曜に約束したメンバーの声が。


入りづらい。


そう思うと少し息が苦しくなる。


「実乃梨、顔色悪いけど大丈夫?」

「平気。まだクラスの賑わいに慣れてないだけだから」

「そっか」

聖治は私の頭を撫でてきた。

“頑張れ”、そう言ってる合図だ。

教室に入ろう。


私は教室の戸を開けた。