この手、あの手。



「聖治は私の大切な人だよ。それでも不満?」

「うっ……」

聖治は顔を真っ赤にさせて黙った。


「周りの人が聖治の敵でも、私だけは味方だから」

「うん……俺も……」

私達は微笑み合った。

聖治のこういう、顔を赤くする所が可愛くて好きだ。

幼馴染みとしての好きだけどね。


「うっざ」

鶴賀君の一言で私の心は一気に冷めた。


「そっちだってラブラブしてたじゃん」

私は言い返した。


「ラブラブじゃない、ただの幼馴染みだ」

うわ、ただのって言っちゃった。

小松さん傷つくじゃんか……。


「私達だって幼馴染みなだけだし」

「あーそうなの? てっきり付き合ってるのかと思った。入学式の時も手繋いでたし」

それを聞いて私は聖治を睨んだ。


「聖治……」

「わ、分かってるってば! 気を付けるよ……」

これからはあまり手を繋がないで。

目でそう言ったのだ。

聖治はちゃんと理解してくれた。