この手、あの手。



私達は4人並んで桜並木だった道を歩いた。


「こうしてると、私達友達みたいだね」

小松さんが言うが、誰も同意しなかった。


「友達……かあ」

私は苦笑いする。


「俺、2人と話すの初めてなんだけど」

聖治は少し冷たく言う。


「つーちゃんはともかく、悠木とは喋ったことねえし」

鶴賀君が私の方をチラッと見て言う。

鶴賀君のバカ……。


「つーちゃん?」

聖治が反応する。

やっぱりね。


「田畑さんが呼んでんじゃん。つーちゃんって」

「だからってアンタがつーちゃんて呼ぶことねえだろ」

聖治は鶴賀君を睨んでいた。

私は聖治の頬を思いきり引っ張った。


「いって! なにすんだよ実乃梨!」

「嫉妬すんな、みっともない」

「だって!」

私は喋っている聖治の顔を両手で抑えた。