この手、あの手。



15分くらいして聖治が戻ってきた。


「鶴賀、実乃梨、お前ら2人で遊んで来いよ」

「良いよ別に。私泳ぎたくないし」

「良いから! ほら!」

聖治は私と武志を無理矢理押した。


「小松さんは任せろ!」

聖治は親指を立ててニッと笑った。


「行こ、つーちゃん」

「うん」

少し無理矢理になっちゃったけど、私と武志は2人で海岸を歩くことにした。


「ごめんな。俺が聖治に頼んだんだ」

「え、そうなの?」

「あぁ。つーちゃんに渡したい物があってさ」

武志は私の前に拳を出してきた。


「手ぇ出して目瞑って」

よく分からないまま、私は言われるがままにした。

すると、手に何か冷たい物が触れた。