この手、あの手。


朝練の時間が終わり、私は聖治と一緒に教室に向かった。


「腕疲れただろ? ごめんな」

「疲れたけど、聖治の方が何倍も疲れてるだろうなって考えたら、全然平気」

「そっか。まあ無理するなよ」

そう言って聖治は私に湿布を渡してきた。


「……なんで?」

「腕に貼りなよ。貼ってる方が、今日一日楽だからさ」

「……有難う……」


聖治は何処までも気を使ってくれるね。

本当だったら私が聖治に渡してあげるべきなのに。


私は湿布を貼りながら歩いた。