好きな音。




「優奈っ」


ヒョコッと教室の中から顔を出す。


ドアにもたれかかって携帯をいじってる優奈。


パタンと携帯を閉じて、こっちを向く。


「終わったぁ?」
「うん」


制服に着替えて長い髪をおろした。


綺麗にセットされた髪をとくのは勿体無かったけど、シンデレラのままいるわけにはいかない。


「どこ見るー?」


わいわいと賑わう廊下を校内パンフレットを開く優奈の横を歩く。


「あたし、梓のとこみたいなぁ」
「梓くん何やるの?」
「お化け屋敷のはずー」
「へー…、ぁ」
「ん?なんかあったぁ?」


パンフレットを覗き込むと一番最初に目に止まってしまった“男女逆転!メイド&執事喫茶”


行きたいって言うか、見たいって言うか…。


「3人のクラスかぁ!」


私の目線を追ったらしく、優奈はパンフレット見て楽しそうな声をだした。