好きな音。



「紺野さんっ」
「ぁ、え」
「宮崎くんと見つめあってないで、髪セットしないとっ」
「ちょっ、見つめあってなんて」
「いーからっ」


ぐいっと髪をセットしてくれる子に引っ張られ、ずるずる連れていかれる。


この子が音也くんファンじゃなくてよかったと思った。


それに、音也くんの方を全然見れなかった。









「はいっ、出来た」
「わぁ」


鏡を渡され見ると、驚くほど綺麗にセットされた髪に歓声をあげてしまった。


「すごい…」
「ありがとうっ」
「可愛い髪型…、プロみたい」
「ほんと!?良かったぁ、あたしヘアスタイリスト目指してるの」
「そうなんだ…。頑張って、応援してる!」
「ありがとう♪」


照れたようにはにかむ彼女が、すごく綺麗に見えた。

私にはない夢があって、素敵な特技があって。