好きな音。



どう言えばいいのか、もぅ全然わからない。


ただ、震えが止まった。


心臓が落ち着い、てる。



これだけは言わなきゃ。


「音也くん」
「んー?」
「ありがとう」
「……どーいたしまして」


頑張ってと加えられ、背中をふんわり押されたみたいに舞台へ足を踏み出した。











なるべく音を出さないように、舞台そでに走る。


シンデレラが魔法をかけてもらって、私はドレスに着替える。


今は優奈をメインに、劇で重要なカボチャ役の人達と演技中。


「お疲れ、紺野さん」
「紺野さん急いでー」


次々に声をかけられる。

急いで着替える場所に移動する。


ボロボロに作られた衣装を脱ぎ、ふぅと息をついてドレスに袖を通す。