好きな音。



「……っ!?!?」
「だーいじょーぶ、だいじょーぶ」


私は目が飛び出るくらい驚いた。


音也くんが私の背中に両腕を回して、ポンポンと叩いてる。

つまり、抱きしめられてるような形。


子供をあやすような感じたけど、私の頭は今の状況に頭が追いついてない。


今舞台の手前だから誰もいないから、誰かに見られる心配はない。


舞台幕越しに聞こえていた観客のざわめきが、聞こえなくなった。


スッと音也くんが離れた。


「大丈夫だよ♪愛ちゃん」


ニコッといつも見てる笑顔を見せてくれた。


何も変わらない笑顔。



深い意味なんてない、ただ安心させるためにした。