好きな音。



私の手足がブルブル震えているから、だと思う。


ハイタッチしたからわかったんだと思う。


平気なふりしてたけど、心臓ばっくばくだし手足ブルブルだし…。


緊張しまくりで…、どうしよう、台詞わかんなくなってきた。

まだ始まってもいないのに…。

大勢の前に立つことに馴れなきゃ、じゃなきゃ…ライブでも失敗しちゃうっ!!


ギュッと瞳を瞑る。


「愛ちゃん」


背後から飛んでくる声の方を向く。


「音也、くん」


振り向けば、音也くんは優しく笑ってる。


「なーに、泣きそーな顔してんのー?」
「緊張、して」


目を伏せて言えばフッと笑うのがわかった。


「ま、気持ちはわかんけどね」

そう言うと、音也くんが私の方にさらに近づいてきた。