「にしても、監督すごいよね」
「うん?」
「しっかりドレスに着替えるためにその間のお話作っちゃうんだもん」
「そのおかげで、メイクの子達は喜んでたよ」
「でもそこを魔法使いがってのがさー」
「優奈は演技うまいから大丈夫よ」
「あーっ、ドッキドキしてきたー」
「紺野さーんっ、そろそろーっ」
優奈と話してるとクラスの子が呼び掛ける。
ピクッと肩が揺れる。
「うた頑張って!」
「うんっ」
スッと挙げられた手に自分の手を当てて、ハイタッチ。
「うた…」
ハイタッチして直ぐにぐるんと回れ右して舞台まで歩く。
優奈が呼び止めたけど聞こえないふりをした。
呼び止めた理由はわかってる。


