「ねー、音くん」
「未来。 なにー?」
「愛ちゃんって誰?」
「………は」
あ。
そっか、よく考えたら未来くんたち私の名前知らないや。
ここ数ヵ月、名前を言わずに過ごしてきた私って…。
何か申し訳ないことをした気分。
「それ、俺も気になってたんだ」
「誰だ?愛って」
「………」
音也くんは開いた口が開かないと言ったような顔をしていた。
「大丈夫か?こいつら」
「音也くん私が説明してなかったからで…」
「や、でもいくらなんでも」
「何ぶつぶつ言ってんだよ」
呆れたように喋る音也くんに、しびれをきらしたみたいで放つように言った。
音也くんはため息をついて、
「自己紹介してもらいなー。“うたちゃん”に」
「へ?」


